独り学び、独りよがりのドラムダイアリー。
高校や大学ではギターに夢中だった。バンドを組んだドラマーは皆ゴツい奴ばかりで・・ずっと身体動かしてて大変そうだね?そう思ってた。
21歳のある日、レンタル店のバイト先で気になってた1枚のCDが_ レッド・ツェッペリンって聴いといたほうがイイよね・・_ 店長がいない隙に勝手に流したんだ。
DISC 2-1 移民の歌 Immigrant Song(Page/Plant)3:20
なぜ2枚組の2枚目から再生したんだろう?覚えていない。ロバート・プラントが囁いた_
Would you welcome please, Led Zeppelin..
_ 次の瞬間、身体じゅうに突き刺さってくるJohn Bonhamのバスドラム、Jimmy PageのギターとJohn Paul Jonesのベースのユニゾンリフ。おいおいコレが25年も前のサウンドか!?
Ah Ah Aaaaaaー Ah!
Robert Plantの雄叫びが始まると、身体はほとんど動けなくなっていた。幸い店長もお客も、店の中には誰一人もいない。視線も身体も硬直したまま、ただ耳だけが必死にサウンドと音符を追っていた。
2コーラスが終わり、中間コーラスからギターソロに向かう。だんだんと「拍」が取りづらくなっていく。初めての曲を聴く時、基本的にはテンポはアタマ拍で取っていく。ペイジのあの、途切れのない呻きのようなギターソロが始まると、ボンゾのドラムとジョンジーのベースが・・ん?ズレてる?途轍もないサウンドを鳴らすコイツらが、まさか・・だかギターソロがハイポジションに移ると_
ドンドドタドンッ!ドンドドタドンッ!
_ 元に戻った。その後10秒ほどまた違和感が続き、ソロの最終番でペイジのリフが、リズム隊の裏拍に完ぺきにハマった。なんだこりゃ?何だコイツら、?
理解が追いつかない場所にグイグイ引き込まれ、脳ミソを、内臓をグラグラと揺らされ、最後は完全なるエクスタシーへと誘われた。重厚なサウンドと幾何学的なリズムが頭から離れない。「もう一度・・」今度は2コーラス後からの後半部分に意識を集中させる。_ ダメだ、全く理解できない。けど、何てカッコいいんだ!!
3回目の再生はやめた。お客が1人、気づかないうちに店内に入ってきていた。店長ももうすぐ戻ってくるだろう。店に1枚しかないこのCDを、僕は棚に戻さず、自分のカードで貸し出し処理をした。